NHKの「新プロジェクトX」をときどき観る。
今日は「ホテルニュージャパンの火災に挑んだ消防士さんの活躍」。
深夜の都心の大火災。六本木の交差点からほど近い場所に建っていたホテル。
お洒落で豪勢な内装だった。ホテルのティーラウンジで、あるお方からお茶をごちそうになって雰囲気に圧倒・魅了された。ラウンジの壁を滝のように水が流れ落ちていたのが印象的だった。火災が発生したのはその2日後だった。思い出すたびにゾッとするけど、運の良さに感謝している。
さて、ここで火消し人命救助に当たった東京消防庁・特別救助隊の活躍。燃え盛る炎の中に飛び込んで、どんな判断でどう行動したかの描写。
現場を掌握するリーダーの判断。「計算ではない、瞬時の判断が要る。勘で動いた」とご本人。指示を出すときに相手の目を見る。大丈夫かどうか。自ら炎の中に飛び込んで部屋の中で倒れている人を救い出した。その人を救うことがそのときの全身全霊をかけた行動だった。全身やけどを負った。助け出した人は亡くなっていたことを後に知らされた。
病院のベッドの中、涙しながら囲む隊員たち。皆2日も帰っていない。「帰って体を休めるように」と。信頼関係がなければ、命がかかった究極の現場で力を合わせて動くことはできない、と元隊長。
このような姿勢で仕事に向かって人生を送っている人もいることに、救われる思い。胸の内で手を合わせ。 自分に向けそうになる刃を躱して思う。この手の報道が何と少ないことかと。人の生き方のお手本でもあり、日常にこのような話があふれていれば社会はもっと暖かくなるに違いない。もっと前向きに力強くなるだろうと。誰よりもまず自分が有難い。報道されないだけで、人知れず誠実に生きている人は大勢いることを知るだけでも気持ちは明るくなる。
が、巷に漂う空気は・・・刺激を求めているのかナと、テレビ。ドラマと言えば大方“殺人”。そんなにみんな殺人が好きなの? 社会的情報内容のせいで感覚が上ずっているのか、人間の本性なのか。
報道内容に楽しいものはほぼほぼない。アメリカで活躍中の野球選手くらいかナ。 世界中のあちこちで戦争、内乱。国内でも政治家から高校生までお金に踊らされて辛酸を舐める話が日常化し、その他見聞きするも辛い話が多すぎる。こんな話が飛び交う日常では真っ当な考え方を身に付けるのはなかなかに大変なこと。改めて情報の弊害を、その影響力を考えさせる今日のプロジェクトX。消防士さんのように神の化身のような人もいるけれど、凡人は濁ったこの情報の洪水に吞まれてしまいがちだ。殺人ドラマ、あらゆる暴力情報の数々。慣らされた感性は摩滅し、気持ちは楽々と究極の暴力戦場に飛ぶ。
「プロジェクトX」の余韻を残しながら
深夜のホテル火災。一緒に思い出すのは・・。 地方から出てきた受験生(試験後?)が麻雀で遅くなった。 タクシーに乗り「ホテルニュージャパンまで」 運転手「今、燃えてるよ」 (濁った情報洪水より)